福岡正信について

1913年2月2日、
愛媛県伊予郡南山崎村(現伊予市)に生まれる。
現・岐阜大学応用生物科学部を卒業後、横浜税関の
植物検査課に所属し、研究に没頭していた。

しかしながら、
急性肺炎にかかり死の淵をさまよったのを機に
「この世には、何もない」と悟る。

地元・愛媛県に戻り農を通じて自然と向き合いながら、「不耕起 無肥料 無除草」を特徴とする
福岡正信流の自然農法の体現化を始めた。

また世界各国への歴訪を重ね、
泥の中に植物の種子を入れて粘土団子状にする事により、砂漠化を抑制する取り組みで世界的な評価を受けるとともに、多くの書籍・詩・画を通じて「無」の境地の伝道に尽力した農哲学者である。

思想と哲学に基づく福岡正信の
自然農法

なにもしないのではない。引き算の農法

大自然の循環サイクルで「生かされている存在」の動植物にとって、
現代的な思考で物事を捉えると、時として「自然との対話」は、困難を極める事があります。

人間が大自然を相手に、「あれこれと足す・加える事」により、本来のありき自然の姿からは、かけ離れていく事を意味しています。
「人智の範疇で足して補おうとはせずに、極力意味をなさない・必要でないものを減らしていく=引く事」で、よりシンプルで、
より深く本質的なステージに繋がります。それは、人為的作業を極力少なくして、自然との調和を図る事を意味しています。

決して無駄ではないが、よく考えると「本当に必要な事とそうでない事」が、日常生活の中にもあるかもしれません。

“あの剪定作業はしなくてよいのではないか”
“この摘果作業もしなくてよいのではないか”
作業を引く為にどうすれば良いかと創造的思考を働かせ、
少ない所作で限りなく自然の傍らに寄り添う・・・。

それが福岡正信自然農園で紡いでいる「引き算の農法」です。

人は 本当の意味で自然を完全に知ることは出来ないから

余計なことはしない

しかし 放任することは違う

自然は 怠情な百姓に甘くない

「わら一本の革命」より

国境を越えてもなお 精神と老体を
世に捧げた 自然の代弁者

福岡正信の自然農法の実証・検証・確立は、地球規模で織りなされた壮大な試みでもあり、
時に優しくも荒々しい大自然を相手に、万物の摂理を紐解く軌跡でもありました。

  • 朽ち果てた大地 ソマリア
  • アメリカ・サクラメント平原での
    米づくり
  • 砂漠化が広がる アフリカ
  • クローバー草生の米と麦 
    イタリア

老体に鞭を打ちながら世界を歴訪し、度重ねた「自然との対話」は、多くの聴衆の琴線に触れました。正信の考え方は、
農法という概念だけでなく、人々のその後の生き方へも大きな影響を及ぼした農哲学そのものでした。

また、特筆すべきは、粘土団子による砂漠の緑化が挙げられます。 人類にとって大きな脅威となっている自然環境の悪化に伴う生態系のバランスの乱れは、飢餓や貧困の問題を引き起こしています。 それは、まさに人災が招いた結果とも言えるでしょう。それに立ち向かうべく、
多種多様な植物の種子を粘土団子にして砂漠化や荒廃した大地へ撒き、再び自然がその息吹を取り戻すために尽力した活動は、
正信の大きな功績の一つとして称えられています。

単一植物だけを使用しなかったのは、自然のバランスを軽視した現代的であり、
かつ人間目線のエゴが優先されたものであると考えたからです。

事実、生態系は多種多様な動植物の有機的な関係性で成り立っているため、偏重したバランスは自然の摂理に反するものだからです。

これらの功績からインドのタゴール国際大学学長のガンジー元首相からは「自然農法は真理の農法」と言われ、
最高名誉学位を授与されました。
また同年アジアのノーベル賞と称されるフィリピンのマグサイサイ賞「市民による公共奉仕」部門受賞、
その後、地球環境保全に貢献した人に贈られるアース・カウンシル賞の初の受賞者となりました。

卒寿を超えてもなお、越境して精力的な活動に邁進した姿は、まさに人種の壁さえも超えた命の伝道活動だったと言えます。

知る事と解る事は 違う

福岡 正信

福岡正信 略歴(現在の地名で表記)

1913
愛媛県伊予市大平生まれ
1933
岐阜高等農林学校農学部(現岐阜大農学部)卒業
1934
横浜税関植物検査課勤務
1937
一時帰郷 自然農法開始
1939
高知県農業試験場勤務を経て
1947
帰郷 自然農法一筋に生きる
1975
自然農法・わら一本の革命(柏樹社)出版
1978
"One Straw Revolution" (Rodale Press) 出版
1979
訪米以降、世界各地で粘土団子による砂漠緑化開始
1986
福岡糯3号、福岡2号、福岡1号品種登録
1988
インドのタゴール国際大学学長のラジブ・ガンジー元首相から最高名誉学位授与。
同年、アジアのノーベル賞と称されるフィリピンのマグサイサイ賞
「市民による公共奉仕」部門受賞
百姓夜話(自費出版)出版
1997
地球環境保全に貢献した人に贈られるアース・カウンシル賞の初の受賞者に選ばれた。
2005
愛・地球博(愛知県)が最後の講演となった
2008
愛媛県伊予市にて永眠

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