自然の力を活かし 自然の秩序に従う
福岡正信自然農園では、日々、百姓として「農」と向き合い、
動植物やそれを取り巻く環境との関わり合いを大切にしています。
それらはとても基本的な事ですが、意義深い所作だと考えています。
畑と向き合う心構えを整える
移り行く季節の香りを感じる
アプローチするタイミングを見極める
動植物との距離感を感じる
自然環境の変化に富んだ現代では、一つの農法という概念で農と向き合うには、
いささか難しい時代になったのも確かです。
ただそれはあらためて、しっかり自然の息吹と共鳴する事が必要とされている時代である事を意味しています。
ここに当園での作業の一部を記しています。
それは、世間の方が期待する「特別なもの」ではないかもしれません。
ただ私達にとっては、それがすべてであり、かけがえのない「自然との対話」であると考えています。
自然は 自然に任せておけば、
自然は 自然に復元するというものである
だがこれは放任ではない
そう正信が「わら一本の革命」で著した言葉は、今もなお私達の心の道標として息づいています。
森々と山深い細道は、
「自分」と向き合う入り口。
毎日ここを通るたび、粛々と脈打つ自然と皆様方への
大きな責任の重さに、
あらためて心が凜とするのに気づかされます。
樹々は、優しく包んでくれる。
剪定による負荷を最小限にとどめられた樹々は、
勢い良く天へと伸びていきます。
その枝を這い上がり、柑橘の樹海へと降り立ちます。
そこで丹精込めて、柑橘を収穫します。
自然との共生は、
良き理解者との共働作業。
私たちは、「自然界から取り除かれるものは、何もない」と
考えています。それは、虫たちも同様です。
化学農薬を使用して「虫たちを排除する事」はしません。
彼らも、当園をしっかりサポートしてくれる
良き理解者であるからです。
樹々との対話から生まれる。
「足して、引く」算術では表現出来ない、
自然界のバランスと調和を大切にしています。
化学農薬を一切使用せずに行う炎天下の除草作業も
その一つです。
滴る汗がその大変さを物語っていますが、
とても尊き作業です。
綺麗なものがすべてではない。
瑞々しさと一緒に表面が一部黒いものがあります。
それは農薬不使用の証です。
見た目の良さを重視する柑橘表面へのワックス処理をせずに、
そのまま出荷します。
それがとても自然だと感じています。
不揃いが自然。
世の中では、「大きさ・糖度」別に分類・出荷される
事があります。そして規格外と呼ばれる出荷規格に
当てはまらない生産物は、廃棄・放置される事が多いです。
このように行き場のない物は、私達、百姓にとって
とても心が痛む存在です。
そのため大きさに極端なものがない限りは、
大小混合で出荷しています。