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農園だより 2022年3月号

「正信の山」

 

私たちが「正信の山」と呼んでいる場所があります。

農園のとある一角、元気いっぱいで気持ちが良い柑橘の山とは少し離れた、祖父の正信が自然農法を実践していた場所をそう呼んでいます。

ここは「自然農法を実践したこの場所が、今後どのような変化をするか見届けてほしい」という正信の意向を尊重し、今は最低限の手入れしかせず、自然のままに時が流れています。

私は幼いころから祖父との時間をたくさん過ごしました。遊び場でもあったこの山は、他とは雰囲気が違い表情も違うことをいつも感じています。植生や生き物の豊富さや菌などが醸し出す混沌とした森のたたずまい。気持ちの良い時もあれば少し怖い時もあります。時間が経ってもそれは変わりません。

「正信の山」は、今も、あるがままの樹々たちと動物たちとでともに循環しています。下の草が沢山生えて、小さい樹、中ぐらいの樹、大きな樹がバランスよく育つ。上を見ても下を見ても緑がたくさんあります。このバランスも計算して作っていたわけではなく、果樹の樹が余ったら植えたりはしましたが、自然のままにバランスが整えられていきました。

今では、フキが年々増えてきています。もともと森になっていく過程で、湿気が多ければコケ、乾燥するとシダが増えていくはずですが、フキが群生するのは湿気と乾燥の絶妙なバランスがとれているのかなと思います。

ただ、これはあくまでも変化の過程にすぎません。今後どうなっていくかはわからず、まだまだ実験的な場所です。春には花が咲いて、果物がたくさん実って、何もしなくとも循環が息づいている。自然農法を実践した山がどうなっていくのか、これからも静かに見守っていきたいと考えています。

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