百姓の嫁 便り|そら豆
  • 徒然日記

百姓の嫁 便り|そら豆

そら豆が、今ピークを向かえています。パキッとさやを割ると、白い綿毛に包まれた、ふっくらとした可愛らしい豆がひょっこり顔をのぞかせます。

 

百姓の嫁 便り|そら豆

 

ところで、皆さんは、そら豆の薄皮、剥きますか?

我が家では毎年この季節になると、主人と私の間で「剥くか剥かないか」の討論が繰り広げられます。

子どもの頃から皮ごと食べている主人。一方、私は子どもの頃から剥かれたものが食卓に並ぶ家庭で育ちました。

 

もちろん皮ごとの方が栄養もあり、今なら皮も柔らかく美味しいのもわかっていますが……、どうしても剥きたくなるのです。

 

百姓の嫁 便り|そら豆

 

そのような手作業が、私は大好き。もやしのひげもとりたいし、つくしの袴取りも爪を真っ黒にしながらずっとしていたいくらいです。

 

以前、あまりにも夢中になって栗の皮を剥く私を見かねて、お義父さんと主人の二人から『栗の皮むきハサミ』を同時にプレゼントされたほどです。

 

春のつくしの季節には『つくしの袴取ります』といつか看板を出してやろうとたくらんでおります。

 

無心で手を動かす、ゆったりとした時間が流れて行くのが私にとって至福のひととき。

 

百姓の嫁 便り|そら豆

 

子どもの頃に食卓で見ていた、丁寧に処理された食材たち。

 

ああそうか、母もこういった作業が好きだったのか。毎日、朝から晩まで働きに出ていたにも関わらず、あまり料理好きともいえなかった母が、食材はきれいに丁寧に下処理していたのは、このような「整う」時間を大事にしていたのかもしれません。

 

今年米寿を迎えた母は、だんだんと頑固になってきました。

「ああはなりたくないな」と思いつつ、しっかり血は受け継がれているようです。

 

はぁ、やれやれ―――。

そうため息をつきながら、今日もせっせと皮を剥いております。

 

百姓の嫁 便り|そら豆

 

おまけ

剥いた薄皮に片栗粉、塩、胡椒をまぶして揚げ焼きにするとおつまみになりますよ。

 

百姓の嫁 福岡晶子