果実への敬意と、召し上がる方への愛情を込めて

特に私たちが誇りに思うのは、手剥きへのこだわりです。機械や薬品を使えば効率的ですが、果実一つひとつと向き合い、丁寧に外皮や薄皮を取り除く作業には特別な意味があります。それは作り手として果実への敬意であり、召し上がる方への愛情でもあるのです。

果肉を粗糖と合わせてゆっくりと煮詰めていくと、鍋からは甘酸っぱい湯気が立ち上り、キッチン全体が甘夏の楽園に変わります。木べらでそっとかき混ぜるたびに聞こえる、ぷつぷつという穏やかな煮える音。

北海道産の蜂蜜を加える瞬間、琥珀色の美しい流れが鍋の中で甘夏と溶け合い、さらに深みのある香りが立ち込めます。最後に高知県産のジンジャーパウダーをひとつまみ。その瞬間、ピリッとした刺激的な香りが全体を引き締め、完成への期待が高まります。

果樹豊かな森を歩くような、気持ちの豊かさを届けたい

完成した蜜は、美しい黄金色。瓶を軽く光にかざし振ると、とろんとした質感に、丁寧に時間をかけて作り上げた過程が感じられます。

香りは、甘夏の清涼感とジンジャーのスパイシーさが絶妙に調和した、他では味わえない特別なもの。スプーン一杯をそのまま口に含むと、まず甘夏の爽やかな酸味が舌先を包みます。続いて、粗糖と蜂蜜の深みのある甘さがゆっくりと広がり、最後にジンジャーのピリッとした刺激が後味を引き締めます。まるで果樹豊かな森を歩くような、気持ちの豊かさが胸に広がるよう。

紅茶に加えると、茶葉の渋みと甘夏の酸味が美しく調和し、ジンジャーの温かみが全体をまとめ上げます。一口飲むたびに、口の中に広がる複層的な味わいは、午後のティータイムを特別なひとときに変えてくれます。

炭酸水で割れば、リフレッシュ効果は抜群。ヨーグルトにかけると簡単贅沢なデザートに変身。アイスクリームにかけたり、お肉料理の隠し味としても素晴らしい働きをします。

この蜜を味わうとき、きっとあなたも感じるはずです。私たちが自然の一部であること、そして日々の暮らしの中にある小さな贅沢の尊さを。忙しい日常の中で、ほんの少し立ち止まって、自然の恵みに感謝する時間。それは決して特別なことではなく、でもとても大切なことなのです。