世の中には、柑橘の種類がたくさんあります。当然、グレープフルーツもさまざま。当園でも毎年人気のルビーやマーシュなど、幾つかのグレープフルーツの品種を日々見守っています。今回ご紹介するグリーングレープフルーツもその一つ。その存在感と食卓や料理に華やかさを演出するこの品種は、酸味控えめのほんのりとした甘みが特徴です。グレープフルーツと文旦を掛け合わせたオロブロンコが正式名称。わたしたちは、その見た目の愛らしさからグリーングレープフルーツと呼んでいます。例年、11月頃から収穫の時期を迎えるグリーングレープフルーツは、グリーンから次第に黄色く色づきます。“グリーン”で味わえる期間は、とても短いです。

園主の百姓としての好奇心から、農園では約30種類の柑橘を栽培しています。自然からの学びを大切にしたいという思いと農園がある地域の気候や風土を観察する意味において、多品種栽培はとても意味深いものがあります。また、いろんな作物を植えるその多様性が、自然との一体感を作り出すスタートだと感じているからです。

そんな秘めた思いから農園に仲間入りしたいのが、グリーングレープフルーツなのです。大きな実が樹々に宿るその姿は、圧巻です。それをハサミ一本で一つずつ収穫するのには、とても神経をとがらせる時間が必要です。ただその分、収穫箱に入れる時には、笑みがこぼれるほど愛おしさを抱きます。

完熟前に味わう香り高い珠玉

10年ほど前、農園の山に約100本を植えました。瀬戸内の温暖な気候の中で、スクスクと育った小さな苗木は、いまでは順調に収穫できるほどになりました。特に今年は、恵まれ天候ということもありたくさん収穫ができたことに福岡家も喜んでいます。

実は、収穫のタイミングと樹々の生長には、密接な関係があります。両者とも味に大きな違いはないのですが、黄色になった実が多い樹々は、その体力に負担を掛けることを意味しています。そしてその影響は、翌年の作柄に出ます。

「樹々たちに負担をかけ過ぎない」という農園の小さな配慮から、グリーングレープフルーツが誕生しました。またグリーン色の収穫物は、外皮の精油が多いために、フレッシュな味わいや香りが際立つというのも嬉しい収穫です。

酸味控えめでまろやかな甘み

グレープフルーツのように半分に切ってスプーンで食べてもいいのですが、内皮をむき、房ごと味わうとまろやかな酸味と甘みが口いっぱいに広がります。自然農法で育てているため、安心の硬い外皮も料理・菓子作りなどの加工にも絶対オススメです。実だけでなく、皮まで使用できるのが柑橘の良いところですね。

ちょっと先まで楽しみをとじこめて

おうち時間をいかして、果実酒づくりに挑戦してみませんか？

スライスしたグリーングレープフルーツを、砂糖、リキュールに漬け込みます。

2～3ヵ月熟成させて、美味しくお召し上がりください。

ロックや炭酸で割ってグリーングレープフルーツの爽やかな香り、漬け込んだ実をヨーグルトや菓子と合わせるのも良いかもしれません。是非、お気に入りのご利用方法を見つけてください。